納期半減の生産清流化
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清流化ツールNo19 「怠慢・満員・鈍行・異常」
 「生産清流化」は、製造企業における業務革新・組織革新のシナリオです。納期短縮を目標として事業環境の変化に対応できるスピードを獲得します。業務を変えるアプローチは「つなぐ化」です。納期遅れの症状を見極めてポイントとなる業務と前後の業務のつながりを1点集中で改善していきます。

■納期遅れのタイプを見極める
 「納期遅れ」とは約束した納期に間に合わないという現象ですが、その原因は様々です。しかし大別すると4種類の納期遅れに分類できます。電車で通勤している人が遅刻するケースになぞらえて以下の4つが代表的です。自社が陥っている納期遅れのタイプを知ることが改善の第一歩です。

■怠慢タイプ
 ひとつめのタイプは「怠慢」です。慢性的に納期遵守率が低い状態なのがタイプです。これのタイプでは着手から納入までの期間は短くできるのにもかかわらず遅れる傾向があります。それは着手が遅れ遅れになっているからです。電車は速いのに、乗り遅れで遅刻している状態です。着手を早めて乗り遅れをなくすことが必要です。
 着手が早くても途中駅で一服してしまい遅れるケースもあります。最終納期を明示して担当者に意識させることが必須です。

■満員タイプ
 2番目は「満員」です。受注量が多く、納入量が追いつかないタイプです。時間とともに要望納期に対する遵守率が低下し、受注残が増加していきます。電車の車両が不足していて乗り切れない人がいる状態です。生産余力を拡大する必要があります。
 生産余力を拡大するには、まず不良率の低減を目指しましょう。次に段取り替え時間の短縮です。段取り替えは1回あたりの時間を短縮しましょう。ロットをまとめて段取り替え回数を減らすと、繰り上がる製品がある一方で、後回しになる製品が発生します。
 不良率と稼働率の改善で不足する場合は、加工時間の短縮、稼働時間の延長、設備や人数の増加を検討します。

■鈍行タイプ
 3番目は「鈍行」です。着手から納入までのリードタイムが長いタイプです。早く乗っても到着が遅い各駅停車の鈍行列車にたとえられます。納入リードタイムを短縮することが納期遵守率を上げることにつながります。
 鈍行列車と急行列車の最高速は、さほど変わらないものです。到着時間が違うのは途中駅での停車時間です。生産でもリードタイムを左右するのは工程間の仕掛停滞です。停滞の場所と量を減らすことでリードタイムが短縮できます。

■異常タイプ
 4番目は「異常」です。突発的な品質異常や設備異常が発生することで納期が遅れるタイプです。事故が起こってダイヤが乱れた列車にたとえられます。異常の未然防止が対策です。
 設備の日常点検や定期点検、突発休暇に備えた交代要員の体制などを見直しましょう。

■タイプ別の原因に対策する
 タイプがわかったら、その原因に対して対策しないと、納期遅れは改善しません。例えば「怠慢」に対して生産余力を拡大しても納期遅れは減りません。また「満員」に対して着手を早めても消化しきないオーダーが遅れていきます。
 実際には複合型も存在します。だが、自社の納期遅れが、どのタイプに当てはまるかを見極めて適切な対策を選ぶことが肝要です。タイプを判定するためのチェックリストを以下に示します。

納期遅れタイプ判定チェックリスト
タイプチェック項目チェック結果項目数
怠慢回答納期達成率を算出していない  
回答納期達成率を気にしていない 
作業をいつまでにやるかが明確でない 
作業着手後に材料部品の不足に気づく 
作業期限に対する進度を把握していない 
進捗への対策が実行されない 
満員受注量が増えると滞留量が増加する  
仕掛量が時間とともに増えている 
生産計画に対して遅れる作業が多い 
この業務を通らない製品は納期が遅れない 
慢性的に残業や休日出勤が多い 
作業応援や増員を要請されている 
鈍行計画段階で納期に間に合わないことがわかる  
標準リードタイムで作業すると納期に遅れる 
特急品や超特急品の作業指図が多い 
作業間の分岐・合流が多い 
作業が分断されモノや情報の停滞が多い 
不良品の手直しや再作成が多い 
異常計画段階では納期に間に合うはずだった  
品質トラブルが発生して再作成などが頻発する  
キーマンが突発的に休むと納期が遅れる 
設備のトラブルが発生すると納期が遅れる 
資材の納入遅れや欠品によって納期が遅れる 
設計や図面の遅れによって納期が遅れる 

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