「生産清流化」は、製造企業における業務革新・組織革新のシナリオです。納期短縮を目標として事業環境の変化に対応できるスピードを獲得します。業務を変えるアプローチは「つなぐ化」です。納期遅れの症状を見極めてポイントとなる業務と前後の業務のつながりを1点集中で改善していきます。
■組織の括りを変える
業務には、それを担当して実行する組織が対応しています。業務を直流化するには、組織の括りや物理的な配置を同時に変えていく必要がでてきます。
■部門名を見る
組織の括りを変えるには、組織を構成する部や課などの部門名の現状が見えるようにします。組織図や名刺が見るための代表的な手段です。その他にも次のような手段で常に部門名と、対応する人・設備などを見えるようにしておきます。
部門名を見る手段
・組織図の掲示 |
・組織図をイントラネット上のホームページに掲載 |
・名刺 |
・名札 |
・建屋の表札 |
・部屋の掲示 |
間接職場で大部屋に複数の部署が入っている場合には、部屋内に部署名を掲示しておくことが必要です。役所などでは部署名を示した掲示板を天井から吊していることがあります。これは初めて来た人でも遠くから見えるようにしたものです。
部門名を見るための手段それぞれは、難しいものはありません。しかし最近では、M&Aなどによって企業名自体から変わることもあります。こうした変化に対応して常に見えるようにしておくには、手間暇をかける必要があります。
また部門名称のつけかたにも留意しましょう。「電子部品事業部」「電子部品製造部」「金属加工課」といった名称は組織の階層関係がわかります。しかし「電子部品ビジネスユニット」「生産センター」「金工グループ」といった名称は、組織の階層関係が推測しにくい。またどういう業務機能を受け持つのかもわかりにくい。
■指揮命令系統を見る
個々の部門名を見ると同時に、部門間の関連や指揮命令系統を見ることも重要です。組織図はそれを示すものです。組織図は書いただけでは不十分です。その妥当性を第三者の目で確認することが望まれます。
組織図の妥当性を確認する観点
観点 | 判定 |
・計画、調達、製造、品質保証、設備管理などの機能が網羅されているか | |
・似た名称の部門(例えば第1生産課と第2生産課)の役割分担は明確か | |
・スタッフ組織(例えば製造企画室)の役割と権限は明確か | |
・品質や会計の正当性を保証できる役割分担になっているか
(内部牽制や第三者チェックが機能する分担か) | |
■権限を見る
組織長の権限も見えるようにしておきましょう。一般には権限規程書で表現されます。これを重要な意思決定に関して抜けがないかという観点で確認しておくことが必要です。また、組織にサブリーダー(部長に対する次長など)がいる場合には、リーダーとサブリーダーの役割・権限を明確にしておく必要もあります。
■問題箇所を変える
組織図で問題のある部分や権限が不明確な役割は、変えると業務の流れがよくなる可能性が大きい所です。過去の経緯や人事上のなりゆきで現状そうなっている場合には、組織や役割を変えていきます。
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