2.顧客をピンポイントで決める
(4)顧客のコスト構造と関連部門
顧客をピンポイントで決める際、企業ではなく個人レベルで特定しなければならない。しかし、企業人としての個人は、組織人としての立場によって購入するものが違ってくる。販売側は、どういう立場の人に売るのかをよく認識しておく必要がある。
図は、ある大手製造業のコスト構造を示している。会計の面から見ると、買い物は様々な勘定科目に分類される。金額がいちばん大きいのは、直接材料費・完成品・仕入製品などである。この購入を決定するのは購買部の人である。新製品ならば開発部の人が関わる。
労務費は、人の購買とみなすことができる。これに関わるのは人事部門の人である。販売報奨費は営業部、物流費は物流部、減価償却費に対応する固定資産の購買には施設部や開発部の人が関わっているだろう。
この会社では、以上の勘定科目で90%のコストを占めている。これらの領域は金額が大きい。だがコスト管理が厳しいため、販売側からみると利益率がなかなか上げにくい。
これ以外の勘定科目は金額が小さい。だが様々な部門の人が関わるために、コスト管理を徹底しにくい。販売側から見ると利益率を上げやすい領域である。中小企業が大企業に売る場合には、この領域を狙うのがひとつの手である。