2.顧客をピンポイントで決める
(6)職種による一般的傾向
顧客をピンポイントで決める際、企業ではなく個人レベルで特定しなければならない。個人によって製品に求めるものは様々である。しかし、職種によって傾向はある。それを紹介しよう。
購買部門の人は、価格を最重視する傾向がある。製造企業の場合、いちばん金額の大きい買い物は、材料や部品の購入費である。その低減は企業として重要な課題である。そして2番目に重視するのは、品質の安定性と発注や受入れの手間である。
開発部門の人が重視するのは、納期である。開発競争の激化から新製品投入のサイクルは短期化している。何しろ早く持ってきてほしいという場合が多い。2番目に重視するのは、不足技術提供である。顧客が大手製造企業の開発部門であっても、技術力が高いとは限らない。むしろ大手企業ではモノづくりの企業は失われている。その不足技術を補って欲しいという要望は高い。また製品の新規性を重視することも多い。開発部門の人は新しいものに対する好奇心が旺盛な場合が多い。個人的な興味が購買に結びつくこともある。
施設部門の人が重視するのは、価格である。ただし購買部門の人とは多少違う。購買部門の人は「安ければ安いほどよい」とい場合が多いが、施設部門では予算内の価格であればよい。長く使うものであるから、予算内の価格でであれば、性能や信頼性が高いほうを重視する。また初期の価格だけでなく、使い続ける間のランニングコストを重視することが多い。また金額が高いため、支払い条件も気になるところである。
広義には行政も産業用向けの顧客であろう。行政の担当者は、見かけの新規性を重視することが多い。効率や利益と無関係な業種である。新規に見える買い物をすると仕事をしているように見せかけることができる。また、来年度の予算どりのための実績作りのために買い物をする傾向もある。
大学も広義の産業向け顧客である。大学では納期が優先である。思いつきの買い物が多く、かつ学生の卒業というタイムリミットが伴うからである。また対象とする研究以外の技術力はないから一括受託してくれることを望むのである。