5.整流から盛隆へ展開する
(4)日程計画と事務処理の対策2
「生産清流化」は納期病の治療法である。行動を変えること、業務を変えることの両面から取り組むプログラムである。行動を変えるために「見える化」を進める。業務を変えるには「しくみ化」を進める。
しくみ化を実行する場合の日程計画と事務処理面の勘所を紹介する。清流化の対策では日程計画が重要である。日程計画が作業の量とタイミングを決めているからである。
日程計画は一般に次のような作業に分解できる。
需要量計画 | 製品の受注量を集計する。見込生産では未来の需要量を予測する。さらに需要量を中間製品や部品の所要量に展開する。 |
生産量計画 | 所要量を未引当ての在庫や作業指図に引き当てて、新規に生産する量を算出し、生産量を決定する。 |
場所計画 | どの作業区あるいは外注で生産するかを決める。 |
進捗把握 | 発行済の計画に対する進捗を把握する。 |
負荷計画 | 計画対象作業区の週や日の負荷量を算出する。 |
順序計画 | 着手順序・着手時期を決める。 |
これらの作業の結果を見える化し、作業の量とタイミングを明確にすることが重要な対策になる。だが、一般に負荷計画の見える化が最も困難である。それは時間を扱うからである。変動する負荷量に対して稼働時間のほうを残業・応援・外注利用などで調整しなければならない。そして調整を入れた結果を都度見えるようにするのは簡単ではない。
最近ではコンピュータを使ったスケジューリングシステムが使われることがある。対話型で画面を見ながらできるようにするものである。しかしこうしたシステムを導入するには資金と手間がかかる。もう少し簡便な方法を紹介しよう。
下図は「日程流動図」と呼ぶものである。これは負荷計画に使う。対象工程に対して時間換算した負荷量と稼働時間を対比してグラフに示している。この図の特徴は2つある。ひとつは、稼働時間に関して定時時間の場合と残業時間を加味した場合の2通りを示していることである。どの位残業しなければならないかを直観的にわかるようにしている。
もうひとつは、累計時間で示していることである。通常、負荷量と稼働時間は同列には扱えない。それは1日の中で残った場合の扱いに関してである。1日でやりきれず残った負荷量は翌日に持ち越される。あるいは前日に前倒ししてやることができる。負荷量は日をまたいで移動可能である。しかし稼働時間が残った場合には翌日に持ち越せない。稼働時間は日をまたいで移動できないのである。
だが「日程流動図」では負荷量を時間換算して累計で示すことによって同列での比較を可能としている。負荷と稼働時間の累計を比較することによって稼働時間の過不足を直観的にわかるようにしている。