第2章 5つのステップ別実施事項
(12)材料・仕掛在庫削減段階の評価制度:モノのロットサイズを評価する
材料・仕掛在庫削減段階は、職場間のモノの停滞に関連する評価制度を確立する。もちろん停滞している在庫量は重要な評価指標である。だがそれだけでは不十分だ。在庫停滞の要因を示す評価指標が必要である。要因を変えていかなければ結果としての在庫停滞は変わらないからである。
代表的な評価指標はロットサイズに関するものである。ロットサイズは3D化(同期化・同量化・同時化)に様々な形で影響する。
ロットサイズとはモノを扱う単位の大きさである。大別すると加工ロットサイズと運搬ロットサイズに分かれる。加工ロットサイズは工程内で同じ製品を連続して加工する数量である。運搬ロットサイズは工程間を運搬する時の一度に扱う数量である。評価指標もこの2つに関して設定する。
「平均加工ロットサイズ」は各工程の加工ロットサイズの平均値である。これは同量化に影響する。前後工程のロットサイズに差がある場合、サイズが小さいほど差の絶対値も小さくなる。ロットサイズの差によって停滞する在庫も減るのだ。また同期化にも影響する。ロットサイズが小さいほど生産計画段階で前後工程が加工するタイミングを揃えやすい。
ロットでまとめて検査している場合には、検査も加工ロットサイズの計算に含める。検査のロットが検査結果待ちの在庫に影響するからである。
「平均運搬ロットサイズ」は各工程間の運搬ロットサイズの平均値である。運搬ロットサイズは同期化の要因である。その状況を示す指標である。運搬ロットサイズが小さいほど生産実施段階で、前工程の加工が終了してから実際に後工程で加工に着手するまでのタイミングの差が小さくできる。
金属の表面処理や化学反応工程は炉や釜でバッチ加工される。こうした工程では製品が一斉に出来上がる。運搬ロットサイズを小さくするには加工ロットも縮小しなければならない。