今日の視点2010
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2010/12/26 日本海側で大雪
12月24日から日本海側の北陸・東北・北海道では大雪が降っている。1日で積雪が100cmを超えるところもあったようだ。10月30日のこの欄に書いたが、今年は海水温が高いという。その傾向がまだ続いているようだ。日本海で蒸発する水分量が多いところに大陸からの寒波が入ると大雪になる。
イギリスでも先週大雪が降った。12月18〜19日はロンドンのヒースロー空港が雪のため閉鎖になった。こうした大雪は経済活動にマイナスであろう。だが雪対策の商品や気象予報、災害予報システムなどの発展を促すという側面もあるだろう。日本は人口密集地が火山・地震・台風・雪など様々な自然災害にさらされるリスクを持つ。そのため防災関連分野の商品・サービスが高度に発達している。これらが世界的な競争力を持つ可能性はあるのではないか。
2010/12/12 日産のEV「リーフ」発売
12月20日、日産自動車の電気自動車「リーフ」が発売される。価格は約376万円だが、国からの補助金を利用すると300万円を切る価格で購入できる。全国の日産ディーラー約2200店には、すでに200Vの普通充電ができる環境を整え、そのうち、約200店舗には、30分で約 80%までの充電を可能にする急速充電器を設置したという。
EV普及の鍵は充電インフラである。そのため日産本社のある神奈川と東京が世界に先駆けてEV地域になるものと私は思っていた。しかし予想より早く充電インフラの全国展開は進みつつある。車両価格は高いが1km1円とも言われる経済性から多頻度で移動する用途、例えば営業車などの業務用途からEVは普及するのかもしれない。仮にガソリン車で年間3万km乗り10km/Lならば年間3000Lである。ガソリン単価130円/Lならば39万円だがEVなら3万kmで3万円である。税制面の優遇もあるので経済性だけでEVを選ぶ層があるのではないか。
2010/11/28 島の悲劇
11月23日、韓国延坪島が北朝鮮軍の砲撃にあい民間人を含む死傷者が出た。一方、11月28日からは米韓合同の軍事演習が黄海で開始された。米原子力空母ジョージ・ワシントンも参加した演習に対して北朝鮮がどう動くかが気になる。だが一連の動きはどれも挑発行為の域を出ず、大きな衝突にはならないだろうという観測はある。
不幸なのは延坪島で被害にあった人達である。韓国と北朝鮮の間、さらに米中間のパワーバランスの中で被害を受けても泣き寝入りせざるを得ない。こうした構図は時代と場所を越えて繰り返されてきた。沖縄、硫黄島、ハワイ、フィリピンの島々、インドネシアの島々などである。島には防衛のための前線基地が置かれた。そしてそれが攻撃対象となった。尖閣諸島も同じ境遇にある。違うのは無人島であるという点だけか。
11月28日に行われた沖縄県知事選挙では仲井真氏が再選された。普天間問題はさらに長期化しそうである。だがこれも大陸・半島・本島・離島のパワーバランス問題のひとつである。簡単には解決しないだろう。
2010/11/14 農業開国
APECアジア太平洋経済協力会議が13日からパシフィコ横浜で始まった。菅首相はAPEC最高経営責任者サミットで、環太平洋連携協定(TPP)の協議開始を表明した。TPPへの参加に向けて「国内の環境整備を早急に進めるとともに、関係国との協議を開始する」としている。TPPで影響を受ける日本の農業についても触れ、「自由貿易を進めるとともに、農業改革を進める」「(日本の農業は)このままの状態では将来の展望が開けない。質の高い食品を海外に輸出することができる競争力のある農業をめざして改革を進めていく」との考えを示した。
国内で保護された産業は国際的競争力を失って長期的には衰退する。これは真実であろう。保護すればするほど残らない。だが保護主義からの転換期には大きな影響は避けられない。短期的な痛みを乗り越えられるのか。鎖国状態だった日本の農業は開国とともに従来と隔絶した取り組みが求められる。農家だけでなくJAに依存した流通のしくみも転換が迫られるだろう。
2010/10/30 冬の気象は
10月18日にフィリピンに上陸した台風13号は最低気圧885hPaと10数年に1回の強さだった。10月20日には奄美大島で1時間に80ミリを超える豪雨が降り、死傷者が出た。10月28日には台風14号が沖縄近海で935hPaを記録した後北上を続けている。30日朝現在四国沖にあり関東上陸の可能性もある。
一方10月26日北海道で10月としては記録的な積雪があった。東北でも積雪があった。私は27日に福島県へ出張したのだが、吾妻小富士をはじめとする山々には積雪が見られた。これらの気象に共通するのは海水温の高さであろう。西太平洋の海水温が高いため、黒潮に沿って東シナ海と日本海の温度も高くなっている。それが台風・大雨・雪につながっていると思う。雪に関しては日本海の海水と大陸から来た寒気の温度差がもたらしたものであろう。
今夏は記録的な高気温だった。一転して今年の冬は大雪になるのだろうか。そして経済にどう影響するのか。不確定な要素がひとつ加わった。
2010/10/17 ヤマハEC-03
10月からヤマハがEC-03を発売した。これはヤマハの電動バイク第2弾である。第1弾のEC-01は2005年に発売されている。それに続く第2弾である。第1弾との間が空いているが、その間は電動アシスト自転車の機種拡大に熱心だった。電動自転車が軌道に乗ったのだろう。電動バイクに再チャレンジしたようだ。
最高出力は1.4kW(1.9馬力)である。スズキの廉価スクーター「チョイノリ」といい勝負である。最高速は40km/h程度だろうか。最高速は伸びない。もっとも原付1種(50cc)の扱いであるから最高速の制限は30km/hである。だがトルクは9.6Nmと125cc並みにある。スタートダッシュは効きそうだ。前機種のEC-02が登坂車線がある山道をそここそのスピードで登っているのを見たことがある。航続距離は43kmとされている。短いようだが家で充電できるから近距離の足としては意外に使えそうだ。
ホンダも電動スクーター型の発売を準備している。郵便配達や自治体などの業務用を狙っている。レンタル方式にして使用者の初期投資を抑える作戦のようだ。これが普及すれば2011年は電動スクーターの普及元年になるかもしれない。
2010/10/2 鳥もつ煮
9月18〜19日の2日間、神奈川県厚木市でB-1グランプリが開催された。これは今回で5回目になるB級グルメの祭典である。全国各地から集まったヤキソバやオデンなど46品が覇を競った。投票によってグランプリを獲得したのは「甲府鳥もつ煮」だった。普通もつ煮というと豚の白モツを煮込んだ味噌仕立ての汁物を想像するだろう。だが鳥もつ煮には汁気はほとんどない。鳥の砂肝やレバーを醤油と砂糖だけで炒り煮にしたものである。赤黒い佃煮状態が鳥もつ煮である。
私も見にいったのだが、まさかこれが優勝するとは思わなかった。鳥もつ煮の屋台は、2箇所に分かれた会場のうち、小田急線本厚木駅から遠いほうの会場にあった。さらに入口から一番遠い場所である。私は甲府に住んでいた時期があり鳥もつ煮は知っていた。だが来場者にこれほど受けるとは正直おもわなかった。私は先月このコーナーで「地元の人にとって当たり前の風景や物産が、旅行者には魅力的に映るという例は多い」と書いた。迂闊にも鳥もつ煮がそうだったのだ。
2010/9/12 日本の観光資源
円高にもかかわらず銀座や秋葉原では外国人旅行者、特に中国人の旅行者が多い。中国人旅行者が一番好きな観光地は東京だそうである。だが富士山の人気も高い。富士山5合目まで行って、そこから自分宛に手紙を出すのが中国人旅行者の間で流行しているという。
富士山まで行かない旅行者は、東京郊外の高尾山へ行く場合が多い。ここ高尾山自体にも魅力があるのだろうが富士山が見えることも人気の理由だそうだ。最近ではあまりの混雑振りに御岳山へ行くという外国人旅行者も増えている。
地元の人にとって当たり前の風景や物産が、旅行者には魅力的に映るという例は多い。地元民にとって「何もない田舎」と思っている場所が、旅行者にとって豊潤な体験を提供してくれる場となる可能性は高い。よそ者の目が観光と関連産業を掘り起こしてくれる。工業製品や農産物等にも気づいていない潜在力はあるかもしれない。
2010/8/28 円高と日本政治
円高が止まらない。一時1ドル83円を記録した今回の円高は、どこまで行くのだろうか。輸出関連企業は大きな打撃を受けている。自動車産業も大きな影響を受けている。日本生産の製品でも部品の海外調達や、日産マーチのように海外生産車の日本販売が加速しそうである。
今回円高になったのは、日本が強いからではない。米国は景気が減速し、ドル安で輸出産業の振興を図ろうとしている。ユーロ圏は、金融危機が発生したギリシャを抱える。こうして消去法で選ばれたのが円ということらしい。
この構図は日本の政治に似ている。民主党は不甲斐ない。だが、自民党よりもマシということで何とか政権を担当している。9月の民主党代表選挙も似たような構図である。菅氏、小沢氏の悪さ比べになりそうだ。そしてこれは円高にも影響しているのではないか。政治への不安から日本国民は貯蓄に走り、国債を下支えする。円はドルやユーロよりもマシというとで円高になる。この構図は、日本の経済と政治が沈没するまで続くのかもしれない。
2010/8/8 酷暑の夏
7月下旬の梅雨明けから全国で連日35℃以上の猛暑日が発生している。予報ではあと一週間は続きそうである。その影響でビールやエアコンの売上が増えている。一方、野菜が不作となり中国からの輸出が増えているらしい。海でもサンマが不漁となっている。これも海水温の上昇が影響している可能性が指摘されている。
猛暑は日本だけの現象ではない。ロシアでも記録的な暑さとなっている。小麦の作柄にも影響しているという。8月5日にロシア政府は、8月15日から年末までの小麦の輸出禁止を決めた。日本の食料自給率の低さは安全保障の面から問題視されてきた。その影響が具体的な形で我々に提示される日も近いのではないか。1993年の冷夏の時、米を緊急輸入したことは記憶に残っている。あの時不作は日本だけだったが、世界同時不作が起きた場合にはどうなるのか。
2010/7/25 ガラパゴスの向こう側へ
日本の製造業の製品や技術はガラパゴス化しているという。小さな島の中で独自進化した結果、世界では通用しない製品になっているとされる。独自規格で進化した携帯電話が代表である。
ところでガラパコス化は悪なのか。中国やインドなどの一般消費者を相手にしようとしたらガラパコス化はマイナスである。だが中国の富裕層やインドの王様にとってはどうだろうか。ガラパコスこそ他にはない魅力を持つ可能性がある。
すでに日本の製造業はサービス業化している。モノを提供するのではなく、モノを通じて、様々な便益やステータスを提供する形態である。他にない魅力を提供できる可能性のあるガラパゴス化はむしろ善である。安い商品を使い捨てにするよりも、高くても気に入った商品を長く使ってもらうことこそガラパゴスの真髄である。機械式高級時計で復活したスイスの時計工業はガラパゴスとは言わない。
2010/7/11 得点と自殺点
サッカーワールドカップは3位決定戦でドイツがウルグアイに勝った。11日夜にはオランダ対スペインの決勝戦が行われる。スポーツは優勝劣敗の世界である。その時に優れているほうが勝つ。現時点で最も優れているチームが頂点に立つ。
今日は参院選の投票日でもある。今の日本政治は優勝劣敗の世界ではない。優れている政党はなく、自殺点の多寡で政権が決まっている。劣勝悪負とでも言えようか。政治の世界でも得点力での勝負が見たい。日本社会のグランドデザインを示せる政党が出てこないと、草サッカーよりつまらない政治が続きそうである。
2010/6/27 サッカーと分権型組織
サッカーワールドカップは決勝トーナメントに入った。予選を通過した日本は次の相手はパラグアイである。どんな戦いになるのか。
野球は1球1球監督の指示を待つ中央集権型のコントロール方式で動く。それに対してサッカーは現場の判断で動く分権型のコントロールである。分権型のコントロールではメンバー間の相互作用が全体に影響する。1人を入れ替えただけで全体のパフォーマンスがガラッと変わることがある。
分権型といっても特定のMFやFWに球を集めるハブ型のチームと、変幻自在にボールを回すネットワーク型のチームがある。どちらが有利かは一概に言えない。個々のメンバーの力量、相手の力などによって変わる。最終的に残るのはどんなタイプのチームだろうか。
2010/6/12 菅内閣発足
6月8日菅内閣が誕生した。社民党は普天間問題で連立を離脱した。新閣僚人事は脱小沢色を鮮明にし、国民新党とも距離を置きはじめた。一連の変化によって内閣への支持は回復したが、財政再建など大きな課題は鳩山時代と変わらない。また脱小沢、脱郵便局による参議院選挙への影響は得失両面ありそうだ。
辞任した鳩山首相は在任266日だった。1994年に解散した非自民連立内閣の細川首相は263日だった。細川首相との奇妙な一致を感じる。このときも小沢一郎が関係していたはずだ。細川首相の後は選挙管理内閣だった羽田首相が在任64日、村山首相が561日と続く。菅首相が選挙管理内閣に終わらないことを期待したい。
2010/5/29 普天間のこれから
普天間基地の問題は、根拠のない5月決着という期限が設定されていた。紆余曲折があったが一応の区切りはついたようだ。泰山鳴動したあげく、辺野古移転案に戻って福島大臣がやめるという結果になった。首相ひとりの思いつきではどうにもならないことが証明された。
沖縄県外移転はできなかったが、普天間の場所はいずれ空く。それが有効利用できれば沖縄にとってプラスになるのではないか。
普天間基地の面積は4.8km2である。首都圏の基地と比較すると厚木基地5.1km2や旧立川基地5.7km2に近い面積である。ちなみに那覇空港は3.3km2である。旧立川基地の跡地は昭和記念公園や行政機関、住宅に使われている。昭和記念公園は市民の憩いの場として入場者数が多い。普天間も使い方によって地域のくらしや経済に大きなインパクトを出せる可能性がある。ちなみに、ちゅら海水族館がある沖縄県本部町の海洋博公園は0.7km2で年間300万人以上の入場者があるという。
2010/5/15 おむすび通貨
おむすび通貨とは愛知県豊田市で5月1日から使われ始めた地域通貨である。通貨単位「1むすび」は玄米0.5合と交換できという。この通貨の流通によって農山村の振興を図るのが目的だそうだ。この通貨は玄米と交換しないと古米になり価値が減ってゆくところに特徴がある。それによって通貨の循環を促される。
本来通貨は、財の交換の道具にしか過ぎない。しかし普通の通貨は腐らないため、貯め込まれて交換の道具として使われない。おむすび通貨はこの点を改善しようとするものでもある。
「世界初の米本位制通貨」だそうだが、小松左京氏の小説や筒井康隆氏の小説の題材になったことがある。さらには江戸時代の石高制は米本位制ではなかったのか。世界的に見ても今世紀の通貨は米国通貨の一極集中から多極化に向かいそうである。おむすび通貨の動向に注目したい。
2010/4/30 ガバメントのガバナンス
4月23日から28日まで民主党の事業仕分けが行われた。廃止や見直しとなった事業は多かったが、削減金額としては目標を大幅に下回った。昨年の事業仕分けは、自民党政権時代に決めた事業の見直しだった。第二段となる今回は民主党政権になってから決めた予算の下での仕分けである。本来なら予算段階で仕分けて金額を削減しておけばよい話である。
官僚に対するガバナンスの仕組みがおかしくなっていないか。郵政事業の見直しでは政権内のガバナンスに疑問を持った。民主党内のガバナンスにも問題山積である。ガバナンス不在で政府(ガバメント)と呼べるのだろうか。
2010/4/18 冷たい春
17日早朝、神奈川のわが家では雪が積もっていた。4月の雪は記録的らしい。春物衣料が売れないなど経済への影響が出ている。欧州でもアイスランドの火山噴火によって航空路は麻痺状態であると聞く。世界的な気温低下の影響も懸念されている。
過去に遡ると1996年も冬は日本海側で大雪、4月は寒波の影響で大阪でも積雪があったという記録が残っている。この年は、1月に村山富市首相が退陣し、橋本龍太郎内閣が発足している。そして9月に民主党が結成され菅直人と鳩山由紀夫が代表になっている。2010年は気候だけでなく政局も似てきている。
だがさらに遡ると1993年は暖冬から一転して冷夏となり米が大凶作、外米の大量輸入につながった。気候も政治もカオス的な動きをする。予断は禁物である。
2010/4/4 郵政事業の見直し
郵政改革法案に関して政権内外の不協和音聞こえる。もともと郵政事業の見直しは民主党のマニュフェストで謳われていた。マニュフェストでは「現在の郵政事業には、国民生活の利便性が低下していること、地域社会で金融サービスが受けられなくなる可能性があること」などを理由にしている。だが貯金限度額の引き上げは利便性の低下とは無関係である。大金を常時出し入れする人は稀だからである。
郵政事業の見直しはマニュフェストどおりだとしても、限度額の引き上げはマニュフェスト違反であろう。マニュフェストという大義をはずれ、大臣の個人的暴走を許す政権運営は、ガバナンス不在と思える。郵政に関して「政権あれども政府なし」という状態である。この無政府状態が広がらないことを願う。
2010/3/20 悲劇は繰り返す
3月5日横浜地裁で、相模原市に住む66歳の男性が、嘱託殺人罪で懲役3年執行猶予5年の判決を受けた。2009年10月12日に妻を刺殺した事件についてである。殺された妻は2005年2月に同じく嘱託殺人罪で、同じ懲役3年・執行猶予5年の判決を受けていた。2004年の8月、全身の筋肉が動かなくなる難病「筋委縮性側索硬化症(ALS)」の長男(当時40歳)の人工呼吸器の電源を切った罪を問われたものであった。
長男の死後、自宅にこもりがちになった妻は「死にたい、殺して欲しい」と夫に訴えていたという。私の友人だった長男も同じことを母親であるこの女性に訴えていたと聞く。
ALSという病気は、年間に人口10万人当たり2人程度が発症するとされる。決して少ない数字ではない。有名人では米国野球選手のルー・ゲーリックが罹ったとされる。19世紀から知られている病気であるが、今のところ根治できる治療法ない。
2010/3/6 トヨタの弱点
2月24日、トヨタ自動車の豊田社長が米国下院の公聴会でリコール問題について謝罪した。この公聴会は政治ショーという側面はある。だが技術面から見ると、急加速問題の原因が把握できていな点がトヨタの最大の弱点となっている。
当初はフロアマットが原因とされた。その後アクセル部品の問題とされた。だが、現時点で、これらは主因ではないとされている。エンジンの電子制御ではないかとの米国側の追求に対して、トヨタ側は否定している。では主因は何なのか。急加速による事故発生が事実だとすると、今まで原因不明で有効な対策が講じられれいないこと、この点が純粋に品質管理の問題として残っている。
2010/2/20 バンクーバー五輪開催
2月12日バンクーバーで冬季オリンピックが始まった。19日までで日本人のメダル獲得は銀1個、銅2個である。冬季オリンピックの競技は、2回の合計点で争われるものが多い。2本滑った合計タイム、2本ジャンプした合計得点、2回の演技の合計得点といったものだ。これに対して夏のオリンピックは決勝1回で決めるものが多い。
2回合計方式はレベルの高さと安定性の両方が必要となる。安定性を欠くと思わぬ逆転が生まれることがある。企業が提供する商品・サービスも、レベルの高さと安定性の両面が必要である。4回転ジャンプを毎回飛べる企業がトップに立てる。冬季スポーツも企業競争も、傍から見ている限り面白いが当事者は大変だという点でも共通している。
2010/2/6 プリウス問題とモード切替
プリウスのブレーキ問題が波紋を呼んでいる。運転者がブレーキをかけようとした時に思ったように制動されないというものである。ハイブリッド車には減速時にモーターを発電機として使って充電する回生ブレーキ機能がある。回生ブレーキと油圧ブレーキが切り替わる時に問題が発生することがあるという。これにはABS(アンチロックブレーキシステム)が関わっている。
これは、人間が自動制御の機械を使う場合に発生する「モード切替問題」の一種であろう。機械の動作モードが自動的に切り替わった場合、あるいは操縦者が機械の動作モードを勘違いした場合に発生する。エンジンブレーキを効かせたい下り坂でオートマのミッションがシフトアップするのもこの類である。前進と勘違いしてバックしてしまうモード切替問題である。音や光や感触でモードが変わったことを知らせるのが常套的な対策手段であるが、プリウスではどうするのか。
相手のモード変化を知らずに対応して、トラブルにつながるのは企業経営でも同じである。今回は技術問題だけでなく対応の遅れが目立つトヨタ経営のモード切替問題でもある。
2010/1/24 JAL経営破たん
1月19日、JALが会社更生法の適用を正式申請し法的整理が始まった。国鉄、電電公社、郵便局など過去数十年の間、国営企業や国策企業が破綻したり民営化したりする姿を見てきた。そのひとつなのだろうが、いつまで繰り返されるのか。国策企業が破綻の道を歩むのは、役所の体質に関連するのだろう。
役所には活動のアウトプットを図る指標がないのが大きな問題である。一般企業の売上にあたる概念が欠如している。インプットつまり使った金や使った時間だけで活動を評価するのである。アウト側の指標がないのでアウトとインの比率で決まる利益や効率の概念もない。これが国が企業経営かかわった場合に致命傷につながる。この点を改めなければ、国の財政も破綻しかねない。
2010/1/5 バベルの塔
アラブ首長国連邦(UAE)のドバイに建設中だった世界一の高層ビル「ブルジュ・カリファ」が完成した。1月4日に完成式典が開かれた。昨年11月に発生したドバイショックはまだ記憶に新しい。ドバイの不動産バブルが崩壊することによって円高を引き起こすといった影響をもたらした。さて完成したブルジュ・カリファにはどの位入居を集めるのか。
高さは828メートルの同ビルの形は、バベルの塔を連想させる。経済面ではバブルの塔かもしれない。バベルにしてもバブルにしてもあまり良いイメージではない。いずれにしても、年が明けても不安を残す世界経済が、そういう連想を起こさせるのだろう。
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