を確認した。2022年の10月と11月の平均在校時間で見ると、中学校教諭の平日平均が11:01、土日平均が2:18となっている。週に換算すると59:41である。いずれも2016年の前回調査よりも減少しているが、これは新型コロナの影響ではないか。2016年の中学校教諭の週換算は64:24だった。「平均」の「在校時間」でこの数字は、立派なブラック団体である。
これが、お金の問題ではないことは、数字だけでも明らかであろう。働き方ではなく働かせ方の改革が必要である。教師の働き方が子どもの教育に影響することを考えると、問題の大きさは少子化に匹敵する。
2024/5/11 太平洋の島国の競争
最近の日本経済や円安の動向を見ていると、日本は米国・中国の2大大国の狭間で生きる衰退途上国となっている。私は将来の日本は、太平洋の島国との競争になると考えている。具体的には、台湾・フィリピン・インドネシアとの競争である。
IMFによる2023年の名目GDPランキングでは以下のようになっている。
4位 日本
16位 インドネシア
22位 台湾
34位 フィリピン
日本と他の3国とは少し差がある。しかし1人当たり名目GDPのランキングでは次のようになる。
34位 日本
39位 台湾
117位 インドネシア
129位 フィリピン
台湾とは僅差、インドネシア・フィリピンとは大差がある。しかし将来はどうだろうか。ゴールドマン・サックスが2023年に発表した2075年のGDPランキングの予測は以下のようになっている。
4位 インドネシア
12位 日本
14位 フィリピン
15位までのランキング外 台湾
インドネシアは人口の多さと成長率の高さで、2023年の日本と同じランクまで上昇する。日本はフィリピンと僅差になってくる。
実は、私の関心はGDPではなく幸福度である。国連持続可能な開発ソリューションネットワークの2023年版の世界幸福度報告では以下のようなランキングである。
27位 台湾
47位 日本
76位 フィリピン
84位 インドネシア
4国の中では台湾がトップを走るが、将来どのように変わるかである。
2024/4/27 首相と軍服
4月19日、中国人民解放軍に「情報支援部隊」が設立されたとの報道があった。私が注目したのは設立式典に出席した習近平主席だった。いつものスーツと違い人民服のような服を着ていた。過去には習主席が、迷彩服で現場を視察している画像も公開されている。国のトップが軍に接する時の姿は、国内外に様々なメッセージを発信する。
アメリカをはじめとする欧米では軍事パレードに出席する大統領や首相はスーツ姿である。プーチンもしかりである。国のトップが軍隊に接するときにスーツを着用するのは、文民統制の証であろう。中国人民解放軍は国軍ではないから、主席は人民服なのだろうか。
国軍に対してスーツ以外を着る代表は、北朝鮮である。金正恩総書記が軍事パレードやミサイルの発射に立ち会う姿を確認すると、スーツも着ているが、人民服、白い元帥服と多様である。日本も安倍晋三が首相時代に、スーツの上から迷彩服を羽織ってを着て戦車に乗っている写真が公開されたことがある。岸田首相も緑色の作業着にヘルメットをかぶった姿で戦車に乗っている姿が公開された。国軍に対するトップの服装に関しては、日本は中国や北朝鮮に近いようである。
2024/4/13 日本の黄昏
円安が進行している。4月13日の時点では、対ドルで153円台となっている。輸出企業には福音だが、輸入品を扱う企業や一般消費者にとっては支出増加につながる。
円安は国の弱体化を示す指標であろう。円安の先に訪れる光景は、幸福を予感させない。現在の日本では、防衛費予算の増大、次期戦闘機の第三国への輸出解禁、自衛官の靖国神社への集団参拝に加えて円安が進みつつある。
この状況は1931年の満州事変の前夜に似てきている。満州事変では戦費調達によって円が急落した。いま海外で、これに近い状況にあるのが北朝鮮である。軍備に金をつぎ込み、指導者が宗主国を訪問する姿はおなじみである。しかし、日本の指導者の行動もこれに似てきている。
2024/3/30 武器輸出の先
3月26日、政府はイギリス・イタリアと共同で開発する次期戦闘機について、第三国への輸出解禁を閣議決定した。2023年12月には、防衛装備移転三原則を改訂し、迎撃ミサイル、大砲、弾薬などを輸出可能にした。これをさらに拡張したことになる。
一連の流れは、日本が米国やNATOの武器生産下請け国であることを、国際的にアナウンスしているに等しい。しかも憲法の平和主義を無視する決定が、国会の議論を経ずに行われていることは大きな問題である。
今年1月には自衛官の靖国神社への集団参拝が問題となった。防衛予算の増大、武器輸出、自衛隊に関する現在の動きは、軍部が政治的に台頭した1931年の満州事変の前夜を想起させる。100年の時を経て「いつか来た道」に回帰しているのではないか。
2024/3/16 インフレ時代のマインドセット
3月15日の報道によると、日銀は19日の金融政策決定会合で、マイナス金利政策の解除を決める見通しであるという。利上げは2007年以来17年ぶりとなるとされる。決定の根拠は、春闘の平均賃上げ率が33年ぶりの高さであること、物価高が続いていることである。
円安を背景にした好業績の大企業では賃上げはできるのだろう。だが。日本の雇用の7割を占める中小企業の賃上げと業績改善は進んでいない。この状況で金利を上げると低業績の中小企業の体力を奪うことになる。また大企業の賃金上昇は、中小企業の人材調達難につながる。
物価高が続いていても、買い手の消費者や大企業のバイヤーはデフレマインドから抜け切れていない。マインドは買い手市場のままでであり、資材や労務費の上昇を知っていても、値切って買おうとする。売り手の中小企業も安売りマインドが染みついている。長年のデフレ経験からくる価格に関するマインドセットを入れ替えないかぎり、日本発のインフレは定着しないのではないか。
2024/3/2 海外流出する日本人
日本の株価が最高値を更新する一方、円高も進行している。1ドル150円台が常態となりつつある。安い国ニッポンは外国人観光客には人気だが、外国人労働者には敬遠されつつある。さらに日本人労働者の中にも、日本での就労を敬遠する人が増加しているという。
以前は研究者などの海外流出が話題だった。ところが現在では海外に出稼ぎに向かう若者が増えているという。2023年2月のNHKクローズアップ現代で特集されていたが、若者に人気なのはワーキングホリデー制度を利用したオーストラリアでの就労だという。新型コロナの終息で、その人数は増加している。
この先にあるのは海外移民の増加であろう。日本人が海外移民を受け入れるのではなく、海外へ移民する日本人の増加である。明治期のハワイ移民や大正期から戦前のブラジル移民など、集団での移民が再び起きるのではないか。
2024/2/17 虚構の株高
2月16日、日経平均株価は終値で38,487円を記録した。これは1989年12月の史上最高値38,915円に迫る水準である。日本の株高は、アメリカの株高、半導体需要増、円安が三大要因とされているようである。
一般市民には株高に関して1989年のような熱はない。当時は不動産バブルや内需拡大といった国内需要が要因だった。しかし現在の株高は海外要因だからであろう。
折しも日本のGDPは、ドイツに抜かれて世界4位に転落したとの報道もあった。こちらも円安が要因のひとつとされる。だが為替だけの問題ではなさそうである。ドイツ株価指数DAXを調べると、1989年年末は1,790だったものが、2024/2/16現在で17,117と10倍近くになっている。日本が35年間、生産性を上げず、デフレと低賃金に甘んじていた間、ドイツは生産性を上げたということなのだろう。
2024/2/3 トヨタグループの日本的組織風土
2024年1月29日、トヨタグループの豊田自動織機で自動車用エンジン3機種の出力試験で不正があったことが発表された。2023年3月にはフォークリフト用エンジンなどの認証試験の不正が発見されていた。今回は、その調査の過程で新たにわかったものである。
ここには、日野自動車、ダイハツで発生した不正問題と通底する、組織風土に関する要因を感じる。上位者の方針に忖度することを最優先し、集団で社会の規範を逸脱する風土である。これは、トヨタグループだけではなく日本的な組織風土ではないか。自由民主党、日大のアメリカンフットボール部、宝塚歌劇団、吉本興業などで繰り返し見せられてきた。
対極にある組織風土は、2023年夏の高校野球で全国優勝した慶応高校の野球部である。私が神奈川県大会から見た強さとしなやかさは、清々しくさえあった。上意下達と忖度の組織風土を変えるには、多様性と対話での組織運営であろう。慶応高校流の組織運営が日本社会に広まってほしい。
2024/1/20 JAXAの月面探査機が月に着陸
JAXAは、1月20日の0時過ぎに小型月面着陸実証機SLIMが月面に着陸したと発表した。月面着陸に成功したのは世界で5か国目だという。
着陸した位置の精度は、評価中だが、目標としていた100m以内を達成した可能性が高い。さらに搭載していた超小型探査機2台の分離にも成功した。現在判明している問題点は、太陽電池が駆動していないことだという。
JAXAは2023年3月にH3ロケット1号機の打ち上げに失敗した。しかし月面着陸の成功で汚名挽回したかたちである。2024年2月15日にはH3ロケット2号機の打ち上げが予定されている。こちらの成功も期待したい。
2024/1/6 防衛装備移転三原則の改定
2024年は能登半島地震、羽田空港での航空機事故など波乱の幕開けとなった。年末に遡ると、12/22に防衛装備移転三原則の改定が閣議決定されたことに驚いた。
これまで殺傷能力のある武器の輸出は、米国のライセンス品の部品のみ可能とされてきた。今回の改定では、米国以外を含め、完成品の輸出も可能とされた。これによって計8か国の79品目のライセンス生産品の輸出が可能となった。迎撃ミサイル、大砲、弾薬などが含まれるという。
日本が米国やNATOの武器生産下請け国であることを内外に宣言した格好である。国際平和における日本のポジション変更が、国会の議論を経ずに決定されたことに驚いたのである。