第2章 5つのステップ別実施事項
(23)製品・流通在庫削減段階の方針管理:製品在庫1/2を目標にする
製品・流通在庫削減段階の方針管理は製品在庫の低減を目標に設定する。納期遵守やリードタイムの短縮で顧客との信頼関係ができていれば、顧客が持つ在庫も対象にする。顧客が流通企業ならばその流通在庫、顧客が製造企業ならばその部品・材料在庫である。
材料・仕掛在庫削減段階と同様、目標は在庫金額で設定する。生産量の変動が大きい時は在庫停滞日数で設定する。
長期滞留品が多い場合には、長期滞留品の在庫金額も目標にする。これによって長期滞留への対策を誘導する。不良品や保留品が多い場合には不良品保留品の在庫金額も目標とする。材料・仕掛在庫削減段階と同様に不良品・保留品の再発防止対策を誘導する。
削減目標は取り組み前の1/2とする。受注、出庫、配送の業務改善に取り組むことで、出荷のために停滞する製品在庫を減らす。また本社、支店などが多段階に在庫を持っていた場合、在庫拠点を統合することで製品在庫を減らす。
ある企業では本社、支店、流通企業の3段階で持っていた在庫を2段階にすることで約3割の在庫を減らした例がある。
またこれまでの段階で加工ロットを受注ロットに近づける改善を進めてきた。仕掛在庫が1/2になったのと同様に、製品在庫もロットが原因の停滞を1/2にすることが可能である。
見込み生産の場合には、需要予測と実需要の差に対する安全在庫が存在する。この安全在庫は製造リードタイムの平方根に比例する。製造リードタイムが1/4になっているので、安全在庫は1/2にできる。
顧客企業が見込みで調達していた場合、リードタイムが短くなっているので、見込み調達から確定需要に基づいた調達に変えられる可能性がある。そうすると顧客の安全在庫はゼロにできる。
これら改善の結果を踏まえ、製品毎に在庫基準を設定し在庫1/2を維持するしくみを作ることが重要である。